循環器内科
心房細動に対する新しい治療法「パルスフィールドアブレーション」を開始しました
循環器センター長 石原 昭三
パルスフィールドアブレーションとは
今回は、心房細動に対する新しいカテーテル治療である、パルスフィールドアブレーションについてご紹介します。
パルスフィールドアブレーションは2024年9月に保険適用された新しい心房細動の治療法であり、既存のカテーテルアブレーションにおける合併症リスクの低減および治療成績の向上が期待できます。これまでのアブレーションは加熱または冷却をすることで熱によりやけどを作って心臓の細胞を壊死させてきましたが、パルスフィールドアブレーションは熱によらない治療法です。そのため心臓周辺の食道や横隔神経、肺静脈などの組織への影響が少なく合併症のリスク軽減や手術時間の短縮による患者さんの負担軽減が期待されています。カテーテルの先端の電極にパルス状の電圧をかけることで電極周囲に電場(パルスフィールド)を形成します。このパルスフィールドは治療対象である心筋の細胞のみに影響するため、心臓の治療部位を選択的に治療できるといわれています。手技時間についても、従来の高周波アブレーションでは約3時間であったものが、パルスフィールドアブレーションでは約1.5時間と大幅に短縮することができます。

治療に選択の幅を
当院では2015年11月より心房細動に対する高周波カテーテルによるアブレーションを行っていますが、2025年5月よりパルスフィールドアブレーションを開始しました。発作性心房細動の方が主な適応ですが、持続性心房細動については個々の病状や希望に応じて適切な治療を検討、選択させていただきます。
高齢化が進み、心不全患者さんが増加する中、心房細動管理の重要性は高まっています。また脳梗塞の予防は医療、介護の両面からも重要な課題となっており、心房細動に対する根治療法としてのアブレーションの役割は大きくなっています。たとえご高齢(歳以上)であってもご自身が治療を望まれる方には治療の選択肢およびメリット、リスクなど説明させていただいています。ご相談だけでも結構ですので、ご遠慮なく当院循環器内科にお問い合わせください。

こちらの記事は、患者さん向けの広報誌「季刊誌みみはらvol.32」に掲載しております。
総合案内・各病棟・サポートセンター(1階)などで配架していますので、ご自由にお持ち帰りください。
広報誌のアーカイブは コチラ からもご覧いただけます。

