
📚月末学習会
ゾルベツキシマブ初回投与での多職種連携の課題
月末学習会の内容はゾルベツキシマブ初回投与での多職種連携の課題です。
ゾルベツキシマブはCLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発胃癌の治療に用いられる分子標的薬です。
特徴的な副作用として悪心嘔吐があります。初回は特に起こりやすく、投与中にも発現する可能性があります。
悪心・嘔吐の副作用の予防として、投与速度を緩やかにすることが有効であり、投与時間が長くなることで有名です。(当院のレジメンであれば、前投薬も含め最短で5時間半程度の時間が予測されます)
また、悪心が出現するとGrade1以下になるまで中断する必要があり、さらに時間が延長するため、投与終了時間の予測が難しい薬です。
そんな薬ですが、今回の症例では、「前日に入院し、翌朝から投与開始」ではなく、「当日入院、午後から投与開始」という予定になっていました。この時点で、
薬剤師は「長くかかるけど大丈夫かな・・・」
医師、看護師は「そんなに長くならないでしょ、大丈夫」
と認識に大きな違いがありました。
投与を開始すると、やはり嘔気が出現。中断→吐き気止め→観察などを行い、投与に時間がかかってしまいました。遅い時間に終了となり、患者さんにとっても負担があったでしょうし、病棟スタッフにとっても負担がかかる結果となりました。

どうして認識違いが起きたのか振り返ると、
この薬が採用になったタイミング、初めて当院で使用したタイミングなどで、薬剤師が何度も勉強会を開催し、はじめのころは医師も看護師も十分な知識を得て対応ができていました。しかし、今回は久しぶりのゾルベツキシマブの使用でした。以前行った勉強会の知識は薄れており、認識のズレが生じたまま、初回投与が始まってしまった形となりました。
多職種間でコミュニケーションを取り合い、投与のスケジュールなどの共有や調整をする必要があったことを振り返りました。薬剤に関することは薬剤師が一番理解しているはずです。必要なタイミングで積極的に情報発信をすることが患者負担の軽減や安全な薬物治療のサポートに繋がる事が改めて認識できた症例でした。
職種間の認識の違いは様々な場面で起こります。これは仕方ないことです。普段からコミュニケーションを取り合い、必要なタイミングで情報発信を行って、日々安全な薬物治療のサポートのために業務を行っています。今回は「以前に何度も勉強会をしたからわかるでしょ」と思い込んでいた、その穴をすり抜けた事例でした。改めてDI業務、情報発信の重要性を再確認できました。タイミングって大事ですね。
今回は実習生も参加してくれました。質問が飛びかって有意義な時間となりました。