堺市の大腸がん検診は、40歳以上の方が無料で受診いただけます
9月1日は「大腸がん検診の日」です。9月が日本対がん協会の提唱する「がん征圧月間」であることにちなみ、その初日にあたるこの日が、大腸がん検診の重要性を広く伝えるための日として定められました。
みみはら高砂クリニックの窓口では、大腸がん検診について、患者さんから数多くのご質問をいただきます。そこで本稿では、日頃いただくことの多いご質問にお答えする形で、大腸がん検診についてお話しします。
検査の内容、受診の方法、そして費用について。ご一読いただければ、大腸がん検診が想像されているよりもはるかに簡便なものであることを、ご理解いただけるものと思います。
大腸がんは、日本人が最も多く罹患しているがんです
まず、なぜ「大腸がん検診の日」を設けてまで注意を促すのか。その理由からご説明します。
大腸がんは、日本人が最も多く罹患しているがんだからです。
国立がん研究センターの統計によれば、2023年に新たにがんと診断された症例は993,469例にのぼります。このうち部位別で最も多いのが大腸がんです。また、がんによる死亡数(2024年)では、大腸がんは肺がんに次いで第2位。女性に限れば、第1位となります。
生涯のうちに大腸がんと診断される確率は、男性で10人に1人、女性で13人に1人です。そして堺市においても、がんは死因の第1位を占めています。
一方で、大腸がんには、もうひとつの側面があります。早い段階で発見できれば、治療の選択肢が多く残されているがんでもあるということです。
問題は、早期の大腸がんには自覚症状がほとんど現れない点にあります。腹痛が生じるわけでも、便通が急激に変化するわけでもありません。自覚のないまま進行していきます。
つまり、症状の出現を待っていては、発見が遅れます。だからこそ、症状のない方を対象とした検診が設けられているのです。
大腸がん検診とは、どのような検査か
大腸がん検診をご案内した際、患者さんから最も多くいただくのが、この問いです。そして「大腸の検査といえば、内視鏡を挿入するものではないか」というご懸念を伴うことも少なくありません。
そうではありません。
検診で実施するのは、「便潜血検査(べんせんけつけんさ)」という検査です。便に、目視では確認できないごく微量の血液が混じっていないかを調べます。大腸にがんやポリープが存在する場合、そこから少量の出血が生じることがあり、それを捉える仕組みです。
受診の手順は、次の4つです。
- ①検査キットをお受け取りください
当院の受付にてお申し出いただければ、その場でお渡しします。ご来院が難しい場合は、お電話をいただければご自宅へ郵送いたします。
- ②ご自宅で、2日分の便を採取してください
別々の日に、付属の採便棒で便の表面を軽くこするだけです。1回あたり数秒で終わります。
- ③当院の受付までお持ちください
ご予約は不要です。
- ④1〜2週間後、ご自宅へ結果をお送りします
検査結果は郵送にてお届けします。
痛みを伴う処置はありません。食事制限も、下剤の服用も、前日の準備も必要ありません。
なお、内視鏡(大腸カメラ)による検査は、この便潜血検査で「要精密検査」と判定された方が、次の段階で受けるものです。検診の段階で内視鏡を用いることはありません。
堺市にお住まいの40歳以上の方は、無料で受診いただけます
もう一点、意外に知られていないことがあります。
堺市にお住まいの40歳以上の方は、大腸がん検診を無料で受診いただけます。
令和8年度も、自己負担金の無償化が継続されています。自費で受診した場合には数千円を要する検査が、費用の負担なく受けられます。
| 対象 | 堺市に住民票のある40歳以上の方 |
| 回数 | 毎年度(4月〜翌年3月)に1回 |
| 費用 | 無料(令和8年度) |
| 持ち物 | 本人確認ができるもの(マイナンバーカード・運転免許証など) |
なお、すでに気になる症状のある方は、検診ではなく通常の診察をお受けください。検診は、症状のない方を対象とした検査です。また、お勤め先の健診で受診できる方は、そちらを優先してください。
毎年継続して受診いただくことに意味があります
「昨年受診したので、今年は控えたい」
診察室で、しばしば耳にする言葉です。しかし、この判断はお勧めできません。
便潜血検査は、毎年継続して受診することを前提に設計された検査だからです。
1回の検査で、すべての大腸がんを発見できるわけではありません。がんが存在していても、採便した日にたまたま出血がなければ、結果は陰性となります。裏を返せば、毎年継続して受診することにより、見逃しの可能性を年ごとに小さくしていくことができます。それが、この検査の考え方です。
堺市の大腸がん検診が「毎年度1回」受診できる制度となっているのも、この理由によります。
昨年受診された方こそ、本年も受診をご検討ください。
「要精密検査」という結果について
検診の受診をためらわれる理由として、精密検査への不安を挙げられる方がいらっしゃいます。この点についても、率直にご説明します。
便潜血検査では、一定の割合で「要精密検査」という判定が出ます。しかし、要精密検査と判定された方の大半は、がんではありません。 痔核からの出血、良性のポリープなど、原因はさまざまです。
重要なのは、その結果を受け取った際に、放置しないことです。「おそらく痔だろう」とご自身で判断され、精密検査を受けずに経過してしまう方が少なくありません。それでは、検診を受診した意義が失われてしまいます。
精密検査には、診断以上の意義があります
精密検査で実施するのは、大腸内視鏡検査です。
この検査には、もうひとつ重要な役割があります。その場で治療まで行えるという点です。
大腸内視鏡検査を行うと、がん以外の疾患(大腸ポリープ、炎症性腸疾患、大腸憩室炎など)が発見されることもあります。そして、発見されたポリープは、小さなものであってもその場で切除します。将来的にがん化する可能性があるためです。
検査と同時に処置を行えることは、大腸内視鏡検査の大きな利点のひとつです。
すなわち精密検査は、がんの有無を診断する検査であると同時に、将来がんとなり得る病変を、その時点で取り除くことのできる検査でもあります。
「要精密検査」という判定は、憂慮すべき知らせではありません。先んじて対処する機会が得られたということです。
当院において精密検査が必要と判断した場合には、同じ同仁会グループの耳原総合病院へご紹介いたします。患者さんご自身で医療機関をお探しいただく必要はありません。検診から精密検査、その後の治療に至るまで、一貫してご案内できる体制を備えております。
肺がん検診も、あわせて受診いただけます
みみはら高砂クリニックでは、肺がん検診も実施しております。こちらも堺市にお住まいの40歳以上の方は無料で、毎年度1回受診いただけます。
問診票にご記入いただき、胸部レントゲンを撮影するのみで、所要時間は約15分です。
なお、堺市では令和7年度をもって、検診車による肺がん・結核検診が廃止されました。これまで検診車で受診されていた方は、医療機関での受診に切り替えていただく必要があります。当院にてお受けいただけますので、ご相談ください。
大腸がん検診の検査キットをお受け取りにご来院いただいた際、肺がん検診もあわせて受診いただけます。ご来院は1回で済みます。
受診をご検討ください
がん検診は、必要性を認識していても、日々の中で後回しになりやすいものです。「そのうちに」と考えているうちに、一年が経過してしまうことも珍しくありません。
当院の受付にてお申し出いただければ、ご予約なしで、当日から受診いただけます。 検査キットのお渡しに要する時間は1分程度です。お電話をいただければ、ご自宅への郵送も承ります。
9月1日「大腸がん検診の日」を、受診をご検討いただく機会としていただければ幸いです。
ご自身のため、そしてご家族のために。
みみはら高砂クリニック所長 内科 奥村伸二
お問い合わせ
出典:国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」(罹患データ:2023年/死亡データ:2024年)。堺市の死因順位は堺市の公表内容による。
※がん検診を受診することで、必ずしもすべてのがんを発見できるわけではありません。