理事長あいさつ

2ヶ所の地域包括ケアステーションを拠点に
まちづくりに貢献してゆきます
2024年度事業報告にあたり、「無差別・平等の医療と介護の実現」を理念に奮闘されている全ての役職員とご支援をいただいている皆さまに、心から感謝申し上げます。皆さまのご協力と努力のおかげで、中期事業計画「みみはら2030年の樹」の一環として建設中であった、鳳エリアと大仙西エリアでの施設群が無事に完成いたしました。これは全ての役職員の奮闘と地域の皆さまのご協力が無ければ出来なかったことです。
2024年度を振り返りますと、「経営上、非常に苦戦を強いられた1年間であった」と言えます。2024年度診療報酬・介護報酬同時改定は、当法人だけでなく、日本中の医療機関・介護事業所の経営を苦境に追いやりました。日本病院会など病院6団体は、「このままではある日突然、病院がなくなります」と、日本中の病院経営が危機的である事を訴え、診療報酬の見直しと社会保障費削減政策の転換を要望しました。医療機関・介護事業所の倒産も過去最高を記録しています。ですが政府は更なる社会保障費削減と、患者・利用者の自己負担 増を準備しています。地域の方々が安心して医療や介護を利用できるように、私たちは医療・介護従事者の社会的責任として社会保障の充実を訴えるとともに現場の声を政治に反映させ、無差別・平等の医療と介護を実践し続けたいと思います。それと同時に、地域ニーズに十分に応えた事業内容を当法人が実践してゆくことにより、経営基盤をより強固なものに変えてゆく必要があります。
「地域包括ケアシステム」を進めてゆくことが、私たち医療・介護事業者に求められています。そして、医療と介護を一体的に提供するために、入院や入所機能に加え、訪問診療、訪問看護、ケアプランセンターなどの訪問系事業所を一つの建物に配置した、地域包括ケアシステムのハブ機能を果たす「地域包括ケアステーション」の必要性が、近年唱えられています。 鳳エリアと大仙西エリアの施設群は、この「地域包括ケアステーション」としての役割を果たすと共に、まちづくりに貢献する目的を持っています。鳳エリアでは、耳原鳳クリニックを新築移転し、訪問診療部、ケアプランセンター、訪問看護ステーション、ヘルパーステーションの4つの「訪問系事業所」をワンフロア配置しました。また、1階の「コミュニティスペース」と3階の多目的室は、地域に開かれたスペースとして、各種イベントに活用することとしました。大仙西エリアでは、「住宅型有料老人ホーム/看護小規模多機能型居宅介護 ひまわりの家・里 大仙西」と「コミュニティ棟 みみっぱ」を建設し、「コミュニティ棟」には、ケアプランセンター、訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、介護事業部などの介護系事業所が入りました。「みみっぱ」では、地域に開かれた各種イベントを行うとともに、喫茶店・カフェのように、いつでも気軽に集い、つながる事ができる場所を提供します。2階にはアートリンクセンターを設け、社会的処方だけではなく、文化的処方も提供して行く計画です。
2025年度は、これらの施設群を軸に、医療と介護を一体的に提供すると共に、これまで以上に、地域の医療機関、介護事業所とは密な連携や情報交換を行い、共に地域への貢献を果たしてゆきたいと考えています。 また、2025年度事業計画の大きな柱の一つが人づくりであり、特に医師の養成を重要視しています。地域包括ケアステーションの役割を果たすための、診療所や総合診療を担う医師を十分に獲得、養成してゆく必要があります。地域ニーズに応える事業を行ってゆくために、地域の方々には外から見た当法人の姿を、是非率直にお寄せ頂きたいと思います。今後も引き続き、皆さまのご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。