ドクター松葉のぴりからコラム

整形外科の病気は判断が難しい
耳原高石診療所
所長 松葉 和己


 例えば、足がしびれて歩きにくいという症状で整形外科にかかったとします。レントゲンやMRIで検査した結果、腰部脊柱管狭窄症と診断された。担当医から「手術をしましょうか」と言われたが、手術したほうがよいのか迷っている。このような相談を受けることが多くなってきました。
 もしもその患者さんが七十歳以下であって、他に何も大きな病気を持っていなければ、手術をしてまず間違いはないでしょう。しかし、腰も痛い、膝も痛い、家の中でもよくつまずいたりする、などいわゆるロコモに該当する八十歳ぐらいの患者さんなら、手術については、慎重に判断すべきでしょう。
 ロコモとは「運動器の障害により移動機能が低下した状態」のことですが、ロコモになる原因は一つとは限らない。腰部脊柱管狭窄症以外にも、膝の変形性関節症があるかもしれないし、骨粗鬆症や圧迫骨折を合併しているかもしれないし、筋肉が乏しいサルコペニアになっているかもしれない。
 そもそも、足のしびれは、下肢を流れる動脈が詰まって起こる閉塞性動脈硬化症が原因かもしれませんし、ひょっとしたら脳梗塞のために足がしびれているのかもしれません。
 人間、八十ともなれば、あちこち悪くなってあたりまえです。今までできていたことができなくなり、思うように体が動かなくなります。その不自由な状態が腰を手術することで、解消しないまでも良くなる勝算があるかどうか。そこのところを慎重に判断することが大切です。
 少なくとも高齢の人の運動器の病気は、腰だけではなく、膝や骨の状態、筋肉の状態を良く見て、そして何よりもその人に前向きに闘病できる活力のような生命力があるかどうかを見極める必要があります。

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