ドクター松葉のぴりからコラム

怖い不整脈
耳原高石診療所
所長 松葉 和己


 脈が乱れることを不整脈と言います。不整脈のほとんどは放っておいてもよい無害なものですが、中には怖い不整脈もあります。怖い不整脈の代表が心房細動です。
 正常な心臓は、規則正しく脈を打ちます。その規則性がなくなり、一つ一つの脈と脈の間がてんでばらばらになり、まったく不規則に心臓が拍動する状態が心房細動です。肺からの血液は左心房を経由して左心室へ流れる一定のリズムがあるのが正常ですが、心房細動では、このリズムが失われ、左心房の中で血液の滞りが発生します。特に左心房の中の袋状になった部分に血液が滞り、やがて血液が固まってしまいます。左心房の中で固まった血液は、溶けることなく、ある日突然、左心房の壁からはがれ左心室を経由し、全身に流れてゆきます。流れ着いてやってきた先が、脳の中の血管であった場合、これ以上は進めないところで脳の血管をふさいでしまいます。脳は一瞬にして酸素不足に陥り重症の脳梗塞になります。これが脳塞栓(のうそくせん)です。
 心房細動は、決してめずらしい病気ではなく、七十歳以上の人の四~五%に見られます。心房細動になった場合、年間六%に脳塞栓を発症し、生涯脳塞栓の発症率は三六%と言われています。
 脳塞栓は、「ノックアウト梗塞」と言われます。普通の脳梗塞ならジャブだけでまだ立ち上がれるのですが、脳塞栓は一発のパンチでマットに沈むぐらい強烈だというわけです。野球の長嶋茂雄さんが、心房細動からの脳塞栓であったことは有名です。
 心房細動の人には、血液を固まらないようにする治療が必要になります。

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