ドクター松葉のぴりからコラム

抗菌薬を飲むべきかどうか
耳原高石診療所
所長 松葉 和己


 のどの痛み(咽頭痛)、鼻水、咳は、風邪ひきの症状で、誰でも年に数回は経験します。発熱、全身倦怠感、関節や筋肉の痛みも、風邪ひきではよくある症状です。一般的には、ふつうの風邪では抗菌薬を飲む必要はありません。
 風邪と鑑別が難しいのが、細菌の感染症です。副鼻腔炎、肺炎、腎盂腎炎、それに溶連菌による上気道炎などが細菌感染症です。この場合には、抗菌薬を飲む必要があります。
 抗菌薬を飲むべきかどうかの判断基準が明確になっていないと、余計な混乱や心配を招く原因になります。
 症状の問診だけでふつうの風邪と判断できることもけっこう多いのですが、咽頭の様子を観察し、聴診器で呼吸音を聞いたりすることで正確な診断に近づきます。さらに血液検査で、白血球とCRP(炎症反応)を測定すると、九割がた風邪か細菌感染かの鑑別が可能になります。
 そもそも、かぜ症状だけにもかかわらず、患者さんが、わざわざ混んでいる医療機関をなぜ受診するのかを考えると、やはり不安があるのだと思います。自分のこの症状は、かぜのように見えて本当は何か別の悪い病気が隠れているのではないかと不安にかられて、あえて受診される。
 そのような患者さんに、白血球とCRPが正常ですので、風邪ひきですと、明確な数字を示して説明してあげると納得して帰られます。
 一番難しいのは、八十五歳ぐらいのご高齢の方です。免疫の反応が衰えているのでしょうか、肺炎であっても発熱も咳も出ないかたがいらっしゃる。聴診器を当てても、背中がエビのように曲がっていて、なかなか音が聞き取れない。そういう場合、ためらわずに検査をすることが大切だと思います。

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