ドクター松葉のぴりからコラム

便秘について
耳原高石診療所
所長 松葉 和己


 慢性の便秘に苦しんでいる患者さんは、高齢化社会の進行と共に増加しています。しかし、適切な診断・治療がなされている患者さんの割合は少ないと考えられます。その原因は、医学教育の場で系統だった教育がなされる機会が乏しく、実臨床の場でも、便秘の診療がなおざりにされてきたことが大きいと思われます。
 私も告白しなくてはなりませんが、患者さんが「便秘です」と言うと、深く考えることもなく、「便秘薬を出しておきます」と簡単に対応することが多い。
 最初に出すお薬は、ほとんど全ての医師がそうだと思いますが、「酸化マグネシウム」です。製品名で「マグラックス330」一錠、寝る前に服用。あるいは「カマグ」という粉薬、0.5グラム。
 酸化マグネシウムは緩下剤でマイルドに効きますが、腎臓が悪い人では高マグネシウム血症に注意が必要で、血中マグネシウムを時々測定する必要があり、用法用量を厳守しなくてはいけない怖い薬です。
 酸化マグネシウムの次は、センノサイド系の刺激性下剤になります。製品名が「センノシド」「センナ」「チネラック」など。市販薬「コーラック」もこの系統の薬です。刺激性下剤には薬剤耐性や依存性が強く、漫然と毎日飲むべきではありません。何年も飲み続けていると腸の壁が変性して機能が麻痺することもあるぐらい、実はこれも怖い薬です。
 高齢者に安全な便秘薬は、実は漢方薬の中にあります。最もマイルドな作用の「大建中湯」、少しきつい「麻子仁丸」、さらに少しきつい「大黄甘草湯」。これらが優れた便秘薬になります。
 薬だけではなく、食物繊維を多く摂る、運動を毎日するなど、生活習慣の改善も非常に大切なことです。

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