ドクター松葉のぴりからコラム

診療情報提供書
耳原高石診療所
所長 松葉 和己


 「しんじょう」あるいは「しんじょうしょ」と言われる書類があります。医療の世界では、仲間内にだけ通じる略語を使ってやりとりする、悪しき習慣がありますが、「しんじょう」など、その最たるものでしょう。
「あの病院にかかるには、しんじょうが必要です」
そう言われても、普通の人には何のことかわかりません。
「身上調査」を思い浮かべる人もあるかもしれません。しかし、今どき私立探偵でもそんなことはしません。個人情報保護法に抵触します。
 「信条?」。思想信条の自由は憲法で保障されています。
 「進上?」。よほど偉い殿様のような病院でないと、そんな言い方はしません。
 診療情報提供書というのが、しんじょうの正しい呼び名です。
 大きな病院にかかるには、診療情報提供書が必ず要ります。制度上、大きな病院では診療情報提供書を持っていない患者を多く診てはいけないからです。
 紹介状という言い方のほうが、一般的な呼び名でしょう。
紹介状なしに、大きな病院を救急で受診することもありうることです。例えば、突然右半身がしびれてきて脳卒中が疑われた場合。かかりつけ医があったとしても、夜間救急の場合、紹介状なしに救急病院に行かざるをえません。その場合でも、翌日かかりつけ医が救急病院宛ての診療情報提供書を書くことになっています。
それでは、診療所と診療所の間はどうなのか。
 制度上、かかりつけ医とは別の診療所にかかる際に、診療情報提供書が必ず要るというわけではありません。しかし、かかりつけ医に黙って、別の同じ科の診療所にかかるのは、感心はできません。礼儀という意味以上に、医療の安全という観点からそうなのです。

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