ドクター松葉のぴりからコラム

認知症とインスリン
耳原高石診療所
所長 松葉 和己


 お腹が空いて頭がまわらなくなることは、誰でも経験します。頭がまわらなくなる究極の病気は、アルツハイマー型認知症です。アルツハイマー型認知症の発症原因の一部に、インスリンがうまく機能しない病態があると考えられています。
 このお話は、次の二つのことを理解していただければわかります。
1 脳が働くには、神経細胞の中に、血中のブドウ糖を取り込む必要がある
2 インスリンは、血中のブドウ糖を、神経細胞に取り込む働きをする
 心斎橋のグリコの看板が新しくなりましたが、グリコのランナーが走るためには、筋肉の細胞が血中のブドウ糖を取り込み、筋肉を動かすエネルギーに変えなくてはなりません。そのために欠かせないのが、インスリンです。ところが、インスリンが血中にいくらあっても、うまく作用しなければ、筋肉がブドウ糖を取り込むことができなくなります。この病態をインスリン抵抗性と言います。
 脳の働きにも、インスリンが大きく関係しています。神経細胞に「ベータ・アミロイド」という物質が蓄積するのが、アルツハイマー型認知症ですが、インスリンは、細胞内からベータ・アミロイドを除去する働きがあり、神経を保護してくれる物質です。インスリンがうまく作用しないことが、アルツハイマー型認知症の発症に関係すると言われています。
 インスリン抵抗性のために認知症が発症するとすれば、糖尿病と同じ病態です。血糖値が正常でも、脳だけインスリン抵抗性がある病気を「3型糖尿病」と呼ぶ人もいます(従来は、1型、2型だけでした)。  鼻からインスリンをスプレーすることで脳に直接効かすアルツハイマー型認知症の治療薬も開発中です。

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