ドクター松葉のぴりからコラム

脳からみた認知症 その一
耳原高石診療所
所長 松葉 和己


 講談社ブルーバックスといえば、科学を一般の人向けにわかりやすく解説した昔からある新書のシリーズです。私も、四十年以上前の高校生のときに、ブルーバックスを読んで、アインシュタインの相対性原理にたいへん興味を持った記憶があります。
 そのブルーバックス最新刊に、伊古田俊夫(いこた・としお)先生が、「脳からみた認知症」という本を出されました。
 伊古田先生は、北海道勤医協中央病院の院長をしておられた先生で、専門は脳外科です。札幌市の認知症支援事業推進委員長で認知症サポート医をしておられます。実は私の古くからの知り合いの先生です。ふだんは温厚な紳士ですが、酒が入ると、「おい、おまえはけしからんぞ」などとテンションが上がり、なかなか腰が据わった侍のような雰囲気があります。
 脳外科医も六十を越えると手術の第一線から退き、開業をする先生もいますが、伊古田先生の場合は、認知症の臨床を天命と決められたようで、精力的に地域の支援と研究を続けておられます。私が尊敬してやまない先生の一人です。
 「脳からみた認知症」は、最新の脳科学の研究を基に、認知症とは何かをわかりやすく解説した素晴らしい内容になっています。ぜひお読みください。
 第五章の「私とは何者か?見当識障害と脳機能」が特に秀逸です。
 時、場所、人物がわからなくなることを見当識障害と言っていますが、これまで解明されなかったそのしくみが、自分を振り返り、反省する脳のネットワークの障害と考えられてきています。

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