ドクター松葉のぴりからコラム

可能性がある
耳原高石診療所
所長 松葉 和己


 病院や診療所で、医師から「○○の可能性がある」と言われたり、検査の説明書で「○○する可能性がある」という文言を見ることが多いと思います。
 例えば、胃カメラを受ける際。説明書には、「この検査によって食道や胃が穿孔する可能性があります」とあります。それはそうでしょう。生身の人間に胃カメラや大腸ファイバーを突っ込むのですから、胃や腸に穴が開いても不思議ではありません。しかし、技術や器具の進歩で、今ではまずそういうことは起こらない。皆そうわかっているから検査を受けることができる。
 ガス湯沸かし器には、「換気をしないと死ぬ可能性がある」と書いてあります。小さな髭そりシェーバーでさえ、「使い方によっては死ぬ可能性がある」と書いてあります。髭をそるだけで、死んでいたのではたまりません。
 「可能性がある」と書いておくと、万が一、事が起こっても、「あんたが了承したのだから責任はあんたにある。だから文句を言うな」と言えるのです。要するに責任転嫁の手段なのです。
 万に一つでも、九割がたの確率でも、「可能性がある」には違いない。
 胸部CT検査の結果、医師が「肺癌の可能性がある」と言った。この場合、どの程度の可能性かをしつこく聞く必要があります。「可能性が高い」と言ったら、まず肺癌で間違いないと思っている。「肺癌かもしれない」と言ったとしても、相当な確率で肺癌と見ている。
 しかし、「可能性がある」という、木で鼻を括ったような言い方よりも、「ほんまのところ、どないでっか」と聞きたいのが本心でしょうか。

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