ドクター松葉のぴりからコラム

血清クレアチニンで腎臓を評価する
耳原高石診療所
所長 松葉 和己


 「腎臓病にはなりたくない」と、いつも患者さんから言われます。確かに、腎不全末期には顔がむくみ、皮膚が黒くなり、尿が出なくなるので水分の制限があり、透析になると週三回の通院が必要になる、など、これほどしんどい病気はないと思うほどです。
 いったん腎不全になると回復は望めませんので、腎臓病は予防が最も重要です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病の患者さんでは、血清クレアチニンの値を定期的に測定することが必要です。
 クレアチニン値の評価にあたって、いくつかポイントがあります。
 まず、クレアチニンは、主に筋肉で合成されるため、血清クレアチニン値は、筋肉の量に左右されます。筋肉量の乏しい高齢者では、腎機能が低下しても、見かけ上、クレアチニン値が上昇しないことがあります。
 次に、慢性腎炎や高血圧に伴う腎障害では、クレアチニンが三以上になれば腎不全といいますが、糖尿病の場合は三以下であっても、急速に腎機能の悪化が進行するようなケースがあり、注意が必要です。
 また、糖尿病では、腎機能が悪くなると、インスリンが尿に排泄されずに血中にいつまでも残るため、みかけ上、血糖コントロールが改善したかのように見えることがあります。何もいいことをしていないのに、血糖値が良くなった時は、腎不全になっていないか調べる必要があります。
 日本の透析患者数は、年々増加し、二〇一〇年には約三十万人で、一九八〇年の三.六万人の実に八倍になっています。その大半は、糖尿病性腎症が進行した患者さんです。

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