ドクター松葉のぴりからコラム

夏季の急性下痢症は細菌性胃腸炎
耳原高石診療所
所長 松葉 和己


急性の下痢を訴えて受診される患者さんは、非常に多いですが、その大半は、感染性胃腸炎です。
夏場に発生する感染性胃腸炎のほとんどは、細菌感染が原因です。原因となる細菌を特定するには、便を培養する検査が必要になりますが、結果が出るのに一週間かかってしまいます。
 そこで、問診が重要になります。
 鶏肉を、十分に加熱せず、たたきなどで食べたことがわかれば、真っ先にカンピロバクターという細菌の感染が疑われます。火を通せば細菌は死滅するのですが、焼き鳥でも、焼き方が不十分で、中が生煮えの状態なら、菌は生きています。
 加熱が不十分な牛肉、ユッケやレバ刺しなど、生で牛肉を食べたことがわかれば、腸管出血性大腸菌の感染が疑われます。この場合、溶血性尿毒症や脳症になって死亡するケースもあり、注意が必要です。
 昨年四月、富山県の焼き肉店で発生した集団食中毒事件は、まだ記憶に新しいと思います。これは、腸管出血性大腸菌のO(オー)111による食中毒でした。
 問診の時の注意点は、潜伏期間の長さです。たまごからのサルモネラ感染であれば、食べてから一日以内に発症するのですが、カンピロバクターなら二~七日、腸管出血性大腸菌なら二~十四日の潜伏期間があります。
 治療は、軽症なら輸液とビオフェルミン製剤でよいのですが、重症例には、抗菌薬を使用します。抗菌薬適応の目安は、三八℃以上の発熱、一日十回以上の下痢、血便、激烈な腹痛、嘔吐などが見られる場合。それと、小児や食品取り扱い者にも使用します。



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