ドクター松葉のぴりからコラム

倒れている人には心臓マッサージを
耳原高石診療所
所長 松葉 和己


 人が倒れていて、その人が息をしていなかった時、なすべき処置の手順は、長年の間「ABC」でした。まずAをする。すなわちエアウエイ(気道確保)。その次がB、すなわちブリーズィング(人工呼吸)。しかる後に初めてCをする。すなわちサーキュレーション(心臓マッサージ)。
 私もそうですが、このABCの順番を間違ってはいけないと思い込んでいて、心肺停止の処置の際には、条件反射的にまず「挿管」と思ってしまいます。「挿管」というのは、気管に管を入れる技術で、これがなかなかうまくできないことが多く、何分間もそれに費やすことになります。路上で人が倒れた時には、倒れている人の顎を上げ、口に強く息を吹き込む処置(マウスツーマウス)をします。
 ところが、このABCの手順は、最近になって、蘇生の可能性が少ない方法であったことがわかってきました。新しい蘇生法は、真っ先に心臓マッサージをすることです。具体的には胸骨という胸の中央にある骨の上を圧迫します。蘇生ガイドラインでは、一分間に百回のリズムで圧迫することを推奨しています。
 ABCのうちのABに時間をかけているうちに、実は心臓は止まったままだったのです。そうではなく、まず胸骨を圧迫して心臓を動かしてあげることが最も優先されるのです。
 一分間に百回のリズムというのは、SMAPの「世界に一つだけの花」のリズムがちょうど百回です。「ナンバーワンにならなくてもいい・・・」と口ずさみながら胸を押し続けると覚えておいてください。


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