 
糖尿病はインスリンが足りないために起こってくる病気です。ですから、インスリンの節約が追いつかないで、また、のみ薬がうまく効かずにインスリンの出がよくならなかったら、インスリンの注射が必要となります。
インスリン治療には「インスリンの絶対適応」と呼ばれる状態があります。これは何がなんでもインスリンをうたないといけない状態のことで、1型糖尿病とよばれる膵臓のインスリンをつくる細胞がほぼ消失した状態の時をさしますが、他にも、糖尿病の女性が妊娠した時、元気なあかちゃんを産むためにはインスリン治療が必要です。
また、大きな手術や感染症などで重篤な病気の時はインスリンが必要となります。
「インスリンの絶対適応」に対してインスリンをうたなくても生命には関わらないのだけれど、のみ薬ではどうにも血糖がコントロールできないためにインスリン治療をする時、「インスリンの相対適応」といいます。
日本人には2型糖尿病が多いため、日本で実際にインスリンをうっている人の多くが2型糖尿病の相対適応の人です。
インスリンはとてもよく効くがインスリンをうたないと生命の危機となる1型糖尿病と、若干インスリンの効きが悪く、血糖を下げるためにインスリンをしている2型糖尿病とは、同じインスリン治療でも、意味合いもやり方もやや異なります。
自分の糖尿病と隣の人の糖尿病との差違を考えながら、糖尿病の話をしてください。
インスリンが膵臓から血中に出てくる様式には空腹時の血糖の上がりを押さえるための基礎分泌と食後の急激な上昇をおさえるための追加分泌という2つのパターンがあります。
インスリン治療の原則はこの2つのパターンをどう再現するか、ということにつきます。
基礎分泌は現在中間型とよばれている濁ったインスリンで代用されます。一日1ないし2回の中間型インスリンで24時間をカバーするわけですが、この中間型インスリンはいつも同じ強さで効く、というよりは少し効き方に山があるため、うつタイミングや量の調節が難しいことも多いようです。
2003年暮れにほぼ24時間をカバーすると考えられる持続型インスリンが発売されました。(このインスリンは長い時間効きますが透明です) このインスリンが期待どおりの効果をみせれば、1型糖尿病の方のコントロールは随分楽になると予想されています。
一方の追加分泌とよばれるインスリンは食事30分前に透明な即効型インスリンをうつことで対応されてきました。これは人のインスリンと全く同じ構造のものなのですが、膵臓から湧き出て肝臓にいく血管に直接流れ込む自然のインスリンと違って、注射されたインスリンは同じ物質でも皮下に注射されるため、吸収され、全身をめぐってから肝臓に流れこみ効果が出るまでに約30分の時間を要するためです。数年前から、超即効型とよばれる皮下に注射しても膵臓から湧き出たインスリンと同じ速さできくように科学的にデザインされたインスリンが出てきて使われだしました。このインスリンを使うと、食事の直前や場合によっては直後に打ってもすぐに血糖を下げる効果があります。
おもにこの濁ったインスリンと透明なインスリンをうまくつかいこなすことで、自分の体内で不足したインスリンを補充していくのがインスリン療法です。
血糖は簡易測定器を用いて短時間で誰でもいつでもどこでも測ることができます。この血糖自己測定というシステムを使うことで、どんな時、どれだけのインスリンをうてば、自分の血糖はどうなるか、ということを掴ことができます。
インスリン注射と血糖自己測定、お金も時間も手間もかかりますが、それだけの効果は必ず上がるといえます。
糖尿病のコントロールがいまいち、と悩む時は、なるだけ安定した生活時間の暮らしをしながら、丁寧に血糖を測ってはインスリンをうつ時をしばらく続けると見違えるほど落ち着いてくると思います。
インスリンをこわがらずにあなたの武器にしてください。
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